世界全14座ある8,000m峰を制覇しようとする女性がいます。
渡邊直子さん。
本人は自分を『登山家』と言いません。
彼女はなんと現役の看護師さんなんです。
看護師の給料をほとんど登山するために使って、最小限の費用でチャレンジして
いると言います。
ご存知のように登山家の三浦雄一郎さんは
大スポンサーがいくつもついて、
三浦雄一郎さんをリスペクトするボランティア
も沢山いてパーティが組まれています。
最高峰の登山は資金もスタッフも沢山必要です。
渡邊直子さんの登山とは?
登山費用についても調べてみました。
8000m峰14座とは?
山を登ったことのない人はいないと思いますが、
標高の高い山に本格的登山したことのない人や、
山に興味のない人にはなんのこっちゃ?
ですよね。
8000m峰14座は、世界最高峰“エヴェレスト(8,848m)”
をはじめとする山で、この地球上に標高8,000mを超える
山は全部で14座あります。
この14座すべてはヒマラヤ山脈とカラコルム山脈にあり、
世界で最も高い山々が連なることから、この山脈地帯は
『世界の屋根』ともいわれているのです。
最も空に近い場所と比喩されます。
サクッと中学〜高校の地理で習いましたよね。
この山脈の成り立ちは、4,500万年前にユーラシア大陸に
インド大陸が衝突し、大陸プレート同士が押し合うことで
隆起し、世界最大規模の山脈が形成されたという事なのです。
インド大陸はユーラシア大陸衝突まで6,000キロ以上を移動
したと言われています。
長い時間をかけて移動したとは思いますが、この辺りは
地震も多いですよね。
未だインド大陸は押し続けているのでしょうか?
私たちが描ける大陸の地図は今現在も形状変化していると思うと
登山家たちが恐れるクレバスも日々形状や位置が移動してるのですよね。
クレバス(crevasse)とは、氷河や雪渓にできた深い割れ目のことです。
「深い裂け目」という意味をもつ英語で、ドイツ語ではシュルンド
(Shurund)ともいわれます。
雪上にできた「クラック」とよばれる“ヒビ”が、雪解けに伴って
だんだんと大きくなり、時に“落ちたら出られない奈落の底”と
なって表れるのです。
クレバスの深さはおよそ10m前後のものが多いのですが、
中には数十メートル以上になるものもあり、落ちたら本人も雪上に残された
同行者も恐怖心MAX。
下部は雪が圧縮されて氷状になっていて、氷が解けた水が流れていること
もあるそうです。
壁面は垂直に近く、ロープが付いていないと真っ逆さま。
10mでもビルの3階ほどの高さに相当します。
渡邊直子さんプロフィール
1981年10月27日、福岡県大野城市生まれ。
大野城市立大利小学校
大野城市立大利中学校
福岡県立春日高等学校
2003年韓国・済州大学校交換留学
2004年長崎大学水産学部水産学科卒業
2009年日本赤十字豊田看護大学看護学部看護学科卒業
現役看護師である。
大学を2つも卒業されてるんですね。
全く違う方向性です。
登山は好きだけど、仕事にするという発想はなく、これといった
将来の目標も見つかっていなかった高校時代。
水産学部を選んだのは、なんとなく山と真逆のことをやってみようと思ったから。
卒業論文では韓国・済州島の伝統文化である海女をテーマに選び、登山と同様、島での“生活”を楽しんだとか。
渡邊直子さんも視点で見た韓国の伝統文化『海女』はどんな研究になったのかな。
転機となったのは大学時代に誘われて登ったヒマラヤの6,000m峰・アイランドピークでの体験。
登山隊の中で看護係を担当したことで、人の役に立てる看護師という仕事に興味を持った。
これがきっかけで看護師の勉強をしようと思い、
大学卒業後、改めて看護大学に入学し、資格を取得。
人のために、役にたつことができるって素晴らしいことですよね。
心の優しい方なのだと思います。
また、看護師の仕事は一生涯できる仕事です。
人が一番辛い気持ちを抱いている時に、そばで支える仕事って
とても尊いと思います。
渡邊直子さんの経歴
日本人女性初8,000m峰13座登頂
日本人女性初世界トップ3座(エベレスト、K2、カンチェンジュンガ)登頂
日本人初1年以内8,000m峰6座登頂
日本人女性初カンチェンジュンガ登頂
日本人女性初アンナプルナI峰登頂
渡邊直子さんは日本人女性として最も多くの8,000m峰を登った記録を持つ。
31歳でエベレストに登頂。
37歳でのアンナプルナⅠ峰、カンチェンジュンガのふたつの登頂に関しては
日本人女性初の快挙である。
そして42歳の今、アジア人女性として初となる8,000m峰14座完全登頂を
目指して活動しています。
登山家の方々は、普段講演活動などをしながら、体力作りに勤しんでいると思っていましたが、渡邊直子さんは毎日看護師の仕事が基本です。
夜勤もこなしてらっしゃるのですよね。
渡邊直子さんの山との出会い
3歳からサバイバルキャンプに毎年参加し、小学校からアジアの子どもたちと中国無人島キャンプやモンゴル草原縦走を経験しました。
学校でいじめに遭っても、冒険を共にした仲間がいたことで逃げることなく強くなったそうです。
学校以外のコミュニティの場所を持つって大切ですね。
小学4年生の時、初の雪山登山を経験。
魅了され、中学1年で初めてパキスタンの4,700m登山を経験。
登ることよりも長期間の生活やハプニングが楽しく、何事にもチャレンジできる人間へと身も心もチェンジしたそうです。
子ども時代に、何かしら自信のあることを持つって大切ですね。
また、年齢的に登山や海外で過ごすことの経験は同級生たちに同じ経験を
持つ子供は少ないと思うので、優越感も持てると思います。
いじめは子ども時代何かと経験するものですが、ストレスを多く抱える者のマウントだと思うので、精神的に強くないと太刀打ちできません。
渡邊直子さんのご両親の教育は、直子さんの将来だけでなく日々の生活にまで
上手く作用したということですね。
渡邊直子さんが山から学んだこと
登山が精神的ケアの大きな役割を果たすそうです。
人生に疲れた友人をヒマラヤに連れて行くと、元気になって帰っていくと。
登山って、経験のある方はわかると思いますが、休憩の時しか後ろを
振り返らないですよね。
ずっと上方、前だけ見てひたすら歩いていく。
人生の縮図のようですね。
振り返るのは休憩の時だけ、後悔も反省もあと合わし!
あとは前だけ、今から先だけ見たい!!
私は登山をしませんが、周りの友人には登山ラバーが多いです。
みんな強靭な精神力と知恵がよく回る人がほとんどですね。
そして体力がある!
渡邊直子さんの夢
渡邊直子さんにとって、世界女性初※8,000メートル峰全14座登頂は、
あくまで通過点でしかないとおっしゃっています。
なので、登山家とは言わずあくまで趣味だとおっしゃってます。
その先にもっと大きな夢があるという。
子供の頃の体験がユニークな人間を作る大きな可能性を持っていると自身
の経験を重ね合わせます。
日本だけでなく、世界中の子どもたちに海外での冒険を体験してもらいたい。
登山はもちろん、世界には楽しいことが沢山あることを知ってほしい。
その為には自分を知ってもらう為、世界女性初8,000メートル峰全14座登頂
を果たし、今までは自分の趣味のひとつとして続けてきた登山だったけど、
これからはこれまでの経験を活かして、社会に貢献したい。
3歳からサバイバルキャンプに参加したという経験は、どのくらい記憶に残っているかは定かではありませんが、海外での無人島経験や、自然に多く接して育ってきたのですね。
ご両親の子育ての賜物だと思います。
「少し前まで、高所登山はあくまでも趣味だった」という渡邊直子さん。
組織力や莫大な費用の捻出が必要となる高所登山では、山岳会に所属したり、
スポンサーの協力を得たりするのが一般的ですが、渡邊さんはひとり貯金を
しながらヒマラヤに向かってきました。
日本にいる間は看護師として、「寝る間も惜しんで」働いているそうです。
「登頂できるに越したことはないですが、
途中で具合の悪い人を見つけたら救助して下山するくらいの気持ちでいます。」
という言葉によく表れているように、本人はあくまで趣味なのですね。
登り切ることができる事ももちろん重要ですが、登っている最中、苦しい思いもしながらも一歩一歩先に行く自分との戦いの時間に重要度を置いているのかもしれません。
だから、スタッフが一人でも体調を崩したら、途中で山を降りることも
当然のように受け入れられると言うところがかっこいいですね。
小学校4年生のとき、初めて冬の八ヶ岳に登った。
見たことのない雄大な風景より「自分より強いと思っていた人を追い抜ける」
気持ちよさだったそうです。
ずっとこの気持ちを持ち続けていらっしゃるのだと思います。
登山にかかる費用
入山の可否は、政治上の理由が大きく関係しますが、特別に注目度の高い
登山家(記録のかかった挑戦など)には許可が下りた実績もあります。
アスリートには挑戦する機会を与えてくださるのですね。
確かに場所は自分の国であっても、地球の持ち物である山の挑戦者に
政治を別に考えるのは万国共通だといいですね。
日本からの場合50,000~10,0000米ドル程度の予算は見積もっておいた方
がいいと言います。
2023年9月現在米ドル147.29円ですと740~1500万円ですね。
とはいえ、雇うスタッフの人数で大きく変動しますね。
故田部井淳子さん(登山家)がエベレストに登頂した時は4,500万円かかったと
言われています。
その時のレートにもよるし、大御所のパーティは予算も膨大ですね。
軽く高級外車や一軒家が買えてしまいますね。
内訳としては、
トレーニング費用
装備の購入費用(固定ロープなどの登攀装備費)
旅費
登山料金(入山料、ガイド、サポートの費用/人数分を含む)
その他、雑費
現地旅行会社マネジメント費
食糧費(人数分✖️日数)
山岳保険費
衛星通信費
トレーニング費用には、登山前に登山経験の豊富なトレーナーと定期的な訓練をする
費用も含まれます。
空気の薄いところに行くので高山病を避けるため、空気圧の差を身体に
覚えさせる訓練の機械などもあります。
入山料についての情報は、エベレストをノーマルルートで登る場合、
外国人は春の登山で1人11,000米ドル、秋で5,500米ドル。
冬と夏は2,750米ドル。
こうした費用は普通の人では、簡単には用意できません。
そのためエベレストの登山者の多くは、スポンサーのついている
プロの登山家か、makuakeなどで寄付してもらうのです。
シェルパを複数人雇い、移動もヘリを使う登山家もいるのに対して、
渡邊直子さんはほとんどが歩きで、シェルパも最小人数。
さらに、その資金のほとんどを現役看護師として働きながら貯めて、
これまで24回もコツコツとチャレンジし続けてきました。
本人が趣味と言い切る凄さがありますね。
でも、なるべく最少の資金で行動しなければ、誰にでもできると
言えないですものね。
シシャパンマで完全制覇
シシャパンマは全部で14座ある8000メートル峰の中で、完全に中華人民共和国領内(チベット)にある唯一の山です。
また8000メートル峰の中で、世界で最後に登頂された山でもあります。
女性初及び日本人初登頂は、1981年故田部井淳子さん(1939-2016)です。
チベット語でシシャパンマといいます。
「牛も羊も死に絶えて、麦も枯れる地方」
という意味だそうです。
サンスクリット語でゴサインタンといい、「神の座」を意味します。
全く違う2つの意味が付けられているのが面白いですね。
中華人民共和国領内にあるのに、中国に生きる人々の言語は多数あるので
山の呼び方も見える方向によって違うのですね。
8,000m峰14座登頂は、アジア人女性ではまだ誰も達成していないそうです。
最近は各国のライバルがそのタイトルを狙って猛スピードで登り始めていて、
お金持ちの令嬢や、経済的に優位な人たちが短期間で何座も登頂しているとか。
渡邊直子さんは20年くらいかけてコツコツと登ってきたので、お金のパワーに
負けるのはちょっと悔しいなという気持ちもあるそうで、少しペースを上げて
計画を立てていらっしゃるそうですよ。
今年2023年クラウドファンディングmakuakeでは渡邊直子さん応援資金を募っていました。すでに終了していますが、目標金額500万を軽く超えていました。
みんな応援したくなりますね!
まとめ
世界全14ある8,000m峰を制覇しようとする女性がいます。
渡邊直子(わたなべ なおこ)さん。
本人は自分を『登山家』とは言わず、趣味と言い切ります。
彼女はなんと現役の看護師さんです。
渡邊直子さんの夢は
日本だけでなく、世界中の子どもたちに海外での冒険を体験してもらいたい。
登山はもちろん、世界には楽しいことが沢山あることを知ってほしい。
その為には自分を知ってもらう為、世界女性初8,000メートル峰全14座登頂
を果たし、今までは自分の趣味のひとつとして続けてきた登山だったけど、
これからはこれまでの経験を活かして、社会に貢献したいそうです。
世界全14ある8,000m峰の登山の基本費用は、
1山で日本からの場合50,000~10,0000米ドル程度の予算は見積もっておいた方
がいいと言うそうです。
渡邊直子さんは、看護師の給料のほとんどが登山に消えるそうです。
他の登山家と違って、基本は自分の財産を使い、スタッフの人数や、用意の全てを最小限で挑戦されています。
最近は彼女を支援したいスポンサーも出てきています。安全のためにはスタッフの数は必要ですね。
登山中、体調の悪くなった人は、渡邉直子さんがサポートできるし、現役看護師の資格は強みですね。
これまで8,000m峰13を制覇してきました。
残るはシシャパンマのみです。
『14座登頂すればアジア人女性初』
楽しみですね。
応援しています!!
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